家族関係

遺言状・相続のご相談

遺言状の書き方が分からない、何を書けばよく、何を書いていけないかが分からないというお声をよくちょうだいします。
 

また、最近では市販されている本などをもとに遺言状を書いてみたものの、これで果たして良いものなのかという不安も聞きます。一度、遺言状を書いたものの、書き直したいのだが、可能であろうかという声も聞きます。
 


遺言状は、自分がこれまで築いてきた大切な財産を死後どのように処分するかを決める重要な書類であるため、少しでも疑問のことなどございましたら、ご相談いただければと思います。

遺言状は必要なものでしょうか。

遺言状がなくても、民法という法律は「誰を相続人として、それぞれの相続人はどういった割合で相続する」という規定を設けているため、相続がなされないということはありません。 

民法が定める具体的な相続人のパターンは次のとおりです。遺言状を書かれる人を基準として、

① 配偶者がいて、子・親・兄弟姉妹がいない場合

配偶者がすべて相続します。(夫からみた妻、妻からみた夫。なお、ここでいう夫や妻は、法律上の夫婦をいい、婚姻届を出していない場合や、離婚した場合は含まれません。以下、同じ)

② 配偶者がおらず、子がいる場合

子がすべて相続します。

③ 配偶者、子がおらず、親がいる場合

親がすべて相続します。  両親ともに健在の場合、相続財産を均等に配分します(父・母2分の1ずつ)。

④ 配偶者、子、親がおらず、兄弟姉妹がいる場合

兄弟姉妹が相続します。  兄弟姉妹が複数いる場合、原則として相続財産を均等に配分します。  ただし、兄弟姉妹のうち、遺言状を書かれる方と父母一方のみが共通する兄弟姉妹がいる場合、父母双方共通の兄弟姉妹と一方のみ共通の兄弟姉妹の割合は2:1となります。

⑤ 配偶者と子がいる場合

配偶者と子が相続します。  この場合、配偶者が2分の1、子が2分の1の割合で相続します。子が複数いる場合は、子の割合の2分の1を均等に配分します。

⑥ 子がおらず、配偶者と親がいる場合

配偶者と親が相続します。  この場合、配偶者が3分の2、親が3分の1の割合で相続します。両親ともにいる場合は、3分の1を均等に配分し、父が6分の1、母が6分の1となります。

⑦ 子と親がおらず、配偶者と兄弟姉妹がいる場合

配偶者と兄弟姉妹が相続します。  この場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で相続します。兄弟姉妹が複数いる場合の割合は、4分の1を④の割合で配分します。

遺言状を書くべき理由はなにか

このように、遺言状を書かなかったとしても、そのときに備えて民法という法律の規定があるため、配偶者や子などに自分の財産がいかないという事態は避けることはできます。 

しかし、せっかく築いてきた自分の財産ですから、死後どのように具体的に処分したい(相続させたい)かを決めたい。あるいは相続人以外の者にも財産をあげたい。相続争いが起こることをできるだけ避けたい。このようなことは十分に理由があります。  このようなことから、遺言状は書かなければならないものではないが、書いておいたほうがよいものと言えます。

遺言状を書く際の注意点

① 厳格な要式

遺言状は、亡くなる方の生前の最終意思であるとともに、その性質上、後に書かれた方の意思を確認することができないことから、撤回することが自由である(何度書き直しても構わない。最新の日付の(死亡に最も近い)遺言状が有効な遺言状として認められる。)とともに、厳格な要式が定められています。  そして、この厳格な要式を守られていない遺言状は、法律上有効な遺言としては認められません。
具体的な要式には、大きく普通方式と特別方式の2種類がありますが、事前に準備して書くものは普通方式のため、ここでは普通方式の概略について説明します。
普通方式の遺言状には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があります。それぞれの方式にメリット、デメリットはあるものの、遺言の効力としては同等です。例えば、せっかく公正証書遺言を書いたけれど、やはり後から気持ちが変わったので自筆証書遺言として書き直した場合、自筆証書遺言のほうが法律上有効な遺言として扱われることになります。
ここで、自筆証書遺言とは、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないもの」です。  公正証書遺言は、次の方式に従わなければなりません。すなわち、
 

❶ 証人2人以上の立会い
❷ 遺言者(遺言状を残したい方)が遺言の趣旨を公証人に口授
❸ 公証人が、❷の口述を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ、又は閲覧させる。
❹ 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押す。
❺ 公証人が、その証書は❶~❹に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押す。

秘密証書遺言は、次の方式に従わなければなりません。すなわち、

❶ 遺言者が、その証書に署名し、印を押す。
❷ 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印する。
❸ 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述する。
❹ 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押す。

② 遺留分 

民法が定める上述の相続分は、遺言状がない場合の処理であるため、遺言状で具体的な財産を相続人に与えようとする場合に、その相続分に従わなかったとしても基本的には問題ありません(例えば、子ども2人いる場合に、1人の子どもに5,000万円相当の不動産を与え、もう1人の子どもに3,000万円の銀行預金を与えることは許されます。)。
また、相続人以外の方へ財産を与えることも認められます。
しかし、民法には残された遺族の生活保障などを目的とした「遺留分(いりゅうぶん)」という制度が定められており、遺留分をもつ相続人の遺留分を侵害してしまうような遺言状は許されません(正確には、このような遺言状が無効となるのではなく、遺留分をもつ相続人から、財産を与えられた方に対して「侵害された部分を返せ。」という遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)がなされます)。
具体的には、まず、兄弟姉妹以外、すなわち、配偶者、子、親には遺留分が認められます。
そして、具体的な遺留分は、原則としてそれぞれの民法上の相続分の2分の1となります。なお、親のみが相続人の場合は、3分の1となります。
例えば、先ほどの子ども2人の例で考えてみると、相続財産は不動産5,000万円+銀行預金3,000万円の8,000万円です。民法の規定によれば、それぞれの子どもは4,000万円の相続分を持っていることから、その半分の2,000万円がそれぞれの遺留分ということになります。具体例では、金額的に少ないほうの子どもも3,000万円をもらっているわけですから、この子どもの遺留分は侵害されていません。したがって、先ほどの具体例のような相続財産の処分の仕方は許されるわけです。
 

このように遺言状を書く場合には気を付けなければならないことが多々あります。
したがって、遺言状を書く際には、私たちにご相談いただければと思います。私たちには守秘義務がございますので、安心してご相談ください。また、既に書かれている遺言状の内容等についても、不安・疑問がございましたら、ご相談ください。